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パンのカビ発生メカニズムと保存試験の結果について

温暖で湿度の高い気候を有するわが国では、食品のカビは切実な問題となっております。特に夏季にパンのカビについて、よくお問い合わせをいただいておりますが、パンのカビ発生のメカニズムは、詳細に研究されてきておりますので、その概略についてのQ&A及び弊社製品と他社製品のカビ発生に関する保存試験結果につきまして、ご紹介いたします。

1.カビ発生のメカニズムについてのQ&A

Q1.どうして食パンにカビが生えるのですか?
食パンは、およそ38%前後の水分を含有しており、細菌が増殖しやすいかどうか判断する目安となっている水分活性値(注1)でみますと、食パンの水分活性値は0.96とカビの生えやすい食品といえます。
食パンの製造は、通常200〜250℃で30〜40分間の焼成工程があり、その際の中心部の温度は95℃を超えカビは焼成により死滅するため〔但し小麦由来の耐熱性菌(枯草菌)の芽胞は死滅せず残存しますので、焼成後の温度管理を適切にする必要があります〕、焼成後カビ胞子が付着することによりカビの生育が始まります。
焼成後の冷却、スライス、包装工程で空気中に浮遊するカビ胞子等が、食パンに付着しますが、お買い求めいただいてから袋の開封後において、手で触れることなどでカビ胞子が付着することもあります。
空気中には浮遊カビがありますので、焼成後の製造環境の清浄度合、清潔度合が食パンのカビ発生に大きく影響します。このようなことから逆に、カビ胞子が全く付着しないものにはカビの発生がありません。
弊社工場の製造ラインでは、このようなカビの付着を防止するために、AIB(注2)食品安全統合基準に基づき、各製造機器に清掃手順書を定め、決められたスケジュールにより清掃を実施し、衛生的な製造環境の維持向上に努めています。

注1:

水分活性値は微生物が利用できる自由水の割合を示しており、水の水分活性は1で、1に近い程微生物が増えやすくなります。鮮魚・果物の水分活性値は0.98〜0.99です。

注2:

AIBは米国において、5つのカテゴリーで構成された食品安全統合基準によって指導監査するフードセーフティシステムを確立して60年の歴史があり、世界各国で食品の安全安心に関する指導監査を実施しています。 なおAIBのフードセーフティシステムについての詳細な資料が(社)日本パン技術研究所フードセーフティ部のホームページに掲載されておりますので、ご参照ください。

http://www.foodsafety.jp

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Q2.どのようなカビが生えるのですか?
食品の種類によって多少生えやすいカビの種類が異なることがありますが、食パンでは主にアオカビ(ペニシリウム属)、クロカワカビ(クラドスポリウム属)、クロコウジカビ(アスペルギルス属)などのカビの発生がみられます。カビの種類によって最適な生育温度が多少異なり、春・秋季には発育が緩やかで最適生育温度が比較的低いアオカビ、クロカワカビの発生が、夏季には発育が速く最適生育温度が高いクロコウジカビの発生がみられる傾向があります。

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Q3.消費期限が過ぎていつまでもカビが生えないことがあるのはなぜですか?
カビの発生は、カビの胞子がパンの表面に付着し、胞子が発芽・生育して集落(コロニー)を作ることにより、肉眼で見える大きさになります。
カビが生えない理由の第一は、パン表面にカビ胞子の付着がなかったためですが、カビ胞子の付着があっても生育条件が整わなかった場合(例えば保存温度が低いとか、パン表面が乾燥していたなど)、カビの発育が遅れて生えてこないことがあります。
弊社では、30℃の保存試験を行い余裕をみて消費期限を定めていますので、保管温度が低い場合、消費期限が過ぎてもカビ発生が遅れたり生えてこないことがあります。

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Q4.カビが生えやすい条件は何ですか?
カビが生育するには、温度、湿度、酸素、pHなどの条件が整うことが必要となります。また、カビの種類により最適な発育条件が違っているため、生えるカビの種類も食品や保存条件により違ってきます。
一般にカビの発育は低温では緩やかで、高温では速いため、夏季にカビの発生が多く見られます。また湿度が高いとカビの生育が速いため、梅雨の時期にもカビの発生が見られます。
食パンの取り扱い説明文に、開封後の食パンの保存方法は冷凍庫での保存と書いてありますが、これはパンの硬化を遅らせることが目的であり、カビの発生を遅らせるには、冷蔵庫の保存で十分です。また、食パンの耳にカビが生えにくい理由は、スライス面に比べ耳の部分に水分が少ないことによるものです。

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Q5.食パンの製法によってカビの発生に違いはありますか?
食パンの製法には、主にストレート法と中種法の二つがあります。この二つの製法はパン生地の発酵方法が異なり、ストレート法に比べて中種法の方がアルコールや有機酸などの発酵生成物が多く生成し、これがカビの生育を抑制する効果があることから、中種法の方がカビの発生が遅くなる傾向があります。また水分含有量を比較すると、ストレート法は中種法に比べ製品の含水量が多いことが、カビの発生を若干速める影響があります。

・ストレート法:

配合原料の全部を同時に混捏して生地に練り上げる製法で、中種法によるパンに比べパンの硬化が早く進む傾向があります。

・中  種  法:

小麦粉の一部とパン酵母と水を混ぜ中種と呼ばれる生地を作り、数時間程度の発酵を取った後に、残りの小麦粉、副原料を加え生地を作成する製法で、発酵安定性が高いため品質が安定し、中種発酵時に小麦粉の水和が進むため、硬化が遅いパンになります。

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Q6.カビ発生を抑える食品添加物はありますか?
食品の腐敗や変敗の原因となる微生物の増殖を抑制し、食品の保存性を高めるために使用される添加物としては、保存料と日持向上剤があります。食パンのカビ発生を抑える保存料としては、プロピオン酸カルシウム等がありますが、弊社では風味等への影響もあり保存料は使用しておりません。日持向上剤は保存料ほど微生物の増殖を抑制する効果は大きくありませんが、食品の品質を保持する効果があります。

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Q7.食パンに使われている食品添加物とカビ発生との関連はありますか?
弊社食パンで使用しております乳化剤、イーストフード、ビタミンC等の食品添加物は、保存料と日持向上剤のいずれでもなく、カビを抑制する目的をもって使われているものではありません。しかし、パン生地中ではパン酵母発酵改善効果を有する食品添加物(イーストフード、ビタミンC)により、パン酵母の発酵が促進され、アルコールや有機酸などの発酵生成物が多く生成されるため、食パンの風味が向上すると共にカビの生育抑制効果も得られます。
乳化剤はパン生地中の油分と水分を均一にする働きがあり、パンのやわらかさを保ちます。
イーストフードはパン生地の中で、パン酵母の発酵を促進するための栄養やpHを調整するなどの成分です。
ビタミンCは一般には栄養成分ですが、パン生地中では品質改良剤として、小麦タンパク質であるグルテンに働き、パン生地を形成する働きがあります。

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2.当社製品並びに他社市場買付製品のカビ発生試験結果

市場買付による保存検査の結果、カビ発生状況は以下の通りです。

1.製品の保存試験
この試験の目的は、製造環境でのカビの付着を見るために行うもので、食パンを未開封の状態で保存試験を行いますが、スライス面が重なって見ることが出来ないため、無菌的に1枚ずつ無菌袋に入れ替えカビ発生を見ました。
食パンは、4月23日市販で08.4.26期限の6枚切12斤を購入、無菌的に1枚ずつ無菌袋に入れ、36枚を各々25、30℃で保存し、消費期限から10日過ぎまで毎日カビ発生を観察しました。

消費期限後の経過日数

期限+3日

+4日

+5日

+6日

+7日

+8日

+9日

+10日

保存温度:25℃

(カビ発生枚数/試験枚数)

1.ヤマザキ食パン

0/36枚

0/36

0/36

0/36

0/36

0/36

0/36

0/36

2.ファインアローマ

0/36枚

0/36

0/36

0/36

0/36

0/36

0/36

0/36

3.超芳醇

0/36枚

0/36

0/36

0/36

0/36

0/36

0/36

0/36

4.A社食パン

0/36枚

0/36

0/36

0/36

0/36

0/36

0/36

0/36

5.B社食パン

0/36枚

0/36

0/36

0/36

0/36

0/36

0/36

0/36

保存温度:30℃

(カビ発生枚数/試験枚数)

1.ヤマザキ食パン

0/36枚

1/36

1/36

1/36

1/36

1/36

1/36

1/36

2.ファインアローマ

0/36枚

1/36

1/36

1/36

1/36

1/36

1/36

1/36

3.超芳醇

0/36枚

0/36

0/36

0/36

0/36

0/36

0/36

0/36

4.A社食パン

1/36枚

1/36

1/36

1/36

1/36

1/36

1/36

1/36

5.B社食パン

0/36枚

0/36

0/36

1/36

1/36

1/36

1/36

1/36

25℃保存では、いずれの食パンも消費期限から10日過ぎまでカビの発生はみられませんでした。また30℃保存では、超芳醇を除く食パンで消費期限から3日以降で、36枚中各1枚にしかカビの発生がみられませんでした。各社ごとのカビ発生状況にやや違いはありますが、原因を特定するためにはこのデータだけでは不十分であると考えます。
製造環境や、袋開封後の保存中にカビの付着などによる二次汚染が少ない場合、気温・湿度などの影響もありますが、消費期限を過ぎた後もカビの発生がない場合があります。
食パンには消費期限を表示することになっており、消費期限は夏期(5月〜10月)で製造日を含め最大5日間(冬期(11月〜4月)は6日間)となっておりますので、夏期30℃6日間(冬期25℃7日間)でカビ発生がないことを1つの指標として、消費期限を表示しています。

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2.カビ接種試験
この試験の目的は、カビ胞子がパンに付着してから生えるまでの時間で、カビの生えやすさを評価するために行うもので、食パンにカビ胞子を直接植え付けて、カビが発生するまでの時間を見ます。
食パンスライス面に2種類のカビ胞子を各々5箇所接種し、30℃で保存、カビが発生するまでの時間を観察しました。

○アオカビ接種保存検査結果

(カビ発生箇所/カビ接種箇所)

カビ接種後経過時間

52時間

54時間

60時間

62時間

64時間

66時間

68時間

70時間

72時間

1.ヤマザキ食パン

0/5

0/5

0/5

0/5

0/5

0/5

0/5

0/5

5/5

2.ファインアローマ

0/5

0/5

0/5

5/5

5/5

5/5

5/5

5/5

5/5

3.超芳醇

0/5

0/5

0/5

5/5

5/5

5/5

5/5

5/5

5/5

4.A社食パン

0/5

0/5

0/5

0/5

0/5

0/5

5/5

5/5

5/5

5.B社食パン

1/5

5/5

5/5

5/5

5/5

5/5

5/5

5/5

5/5

アオカビ胞子を接種してからカビが発生した時間は、
B社食パンが1番速く、次にファインアローマ・超芳醇、A社食パン、ヤマザキ食パンの順に発生しました。

○クロコウジカビ接種保存検査結果

(カビ発生箇所/カビ接種箇所)

カビ接種後経過時間

38時間

40時間

42時間

44時間

46時間

48時間

1.ヤマザキ食パン

0/5

0/5

0/5

5/5

5/5

5/5

2.ファインアローマ

0/5

0/5

5/5

5/5

5/5

5/5

3.超芳醇

0/5

0/5

5/5

5/5

5/5

5/5

4.A社食パン

0/5

0/5

0/5

5/5

5/5

5/5

5.B社食パン

0/5

5/5

5/5

5/5

5/5

5/5

クロコウジカビ胞子を接種してからカビが発生した時間は、
B社食パンが1番速く、次にファインアローマ・超芳醇、A社食パン・ヤマザキ食パンの順に発生し、アオカビと同様の傾向でした。
以上の通り、食パンの保存試験とカビ接種試験の結果より、食パンスライス面のカビの発生の有無は、カビ汚染の有無によるものであり、カビの生えやすさは、製造方法(ストレート法と中種法)や配合など、食パンの種類によって違ってきます。また、日持向上剤や発酵生成物の利用によりカビの発生を遅らせることができます。そしてカビ発生の速さは、カビの種類によって異なり、特に温度の影響を受けます。

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