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世界各地のバラエティ豊かな朝食
また、幸せの香り漂うパン料理などを紹介していきます。

日本発祥の傑作サンドイッチ「カツサンド」。今やベーカリーに各種レストラン、カフェ、バー、スーパー、コンビニから駅や空港の売店まで、驚くほどさまざまな場所で見かける。肉の種類や部位、合わせる具、ソースの味、パンは焼くか焼かないか……。多彩な個性が花開いている。ちなみに、元祖は東京・上野の老舗とんかつ店の女将が、柔らかな肉を小さなパンで挟み、花柳界の芸者衆でも手軽に食べられるように考案したとされる。

月刊dancyu[ダンチュウ]
2018年 4月号
編集タイアップ企画より

日本

ニッポン食パン!
サンドイッチ&トースト

 「日本の食パン、おいしいね」。世界各国の朝食を取材する中で、何度も聞いた言葉である。日本人とは育った環境も文化も違う。自国のパンに対する思いもあるだろう。そんな人々もクオリティーを認めるのが、今日の日本の食パンなのだ。

 ルーツは18世紀頃の英国。それまでは主に外側のクラストを楽しむパンが多かったヨーロッパにあって、箱形の型で焼くことで中身のクラムを存分に味わえるようにした画期的なパンである。日本には明治初期に伝来。日本人の嗜好に合わせて改良が重ねられ、ふわりと柔らかく、ほのかに甘いこの国独自の食パンへと進化した。昨今は、これが世界にも進出。つまり日本は、食パン第二の故郷とも言えるのだ。

 味だけでなく食べ方も、日本の食パンは注目の的。サンドイッチやトーストのアイデアあふれるアレンジや、豊富な種類に海外からも称賛の声が寄せられている。その代表格が「カツサンド」。日本人ならごく普通に食べているものだが、改めて味わうとソースのしみ込んだパン、香ばしい衣をまとった肉の抜群のマリアージュ。和と洋が絶妙に融け合っている。昭和10年、まだ食パンが今ほど浸透していなかった戦前の誕生という事実にも驚かされる。

 近年は、しめ鯖やかき揚げ、ひじき、納豆……。自分なりのサンドイッチ&トーストを楽しむ人が増え、食パン文化はさらに広がりを見せる。あらゆる食文化を取り入れ、自分たちの味覚に合わせてより深めていくのが日本人。どんな具でもやさしい風味で包み込んでくれる食パンは、そんな私たちの食卓を支える強い味方でもある。

 とはいえ、食パンが与えてくれた恩恵と言えば、やはり朝食に敵うものはない。家に漂うトーストを焼く香り。これがなければ、一日が始まらないという人も多いだろう。ときに味噌汁の香りが混ざっても、それがニッポン。かぐわしく、おいしく、幸せな時間が流れるこの国の朝である。